VPN接続して日本国外にある各種のサービスを利用することや、海外出張時の接続に不安はありませんか。プライバシーや情報セキュリティも心配ですが何よりも、法律やサービス提供業者の規約などのルールを知らない間に違反していることが心配ですね。VPN接続で安心してサービスを利用するための注意点をこの記事でまとめています。
VPN接続時の正しい使い方とは
VPNという技術自体に違法性はなく、問題となるのはその使い方です。このことはVPNに限った話ではなく、日常生活でインターネットを利用する際に心がける注意事項と同様です。それではどのように、何に気をつけてVPNを使えばいいのでしょうか。
VPN接続の本来の目的は利用者自身のプライバシーを確保したり、さまざまな情報セキュリティを維持することです。VPN接続でサービスを使用する際はこの目的をよく考え、この範囲内で利用することが何よりも大切と考えます。VPN接続で利用する各種サービスの規約も十分に確認をしましょう。
犯罪行為をしない
日常生活ではもちろんインターネット利用時にも、やってはいけないことが多くあります。VPN技術を活用する場合も同様です。
やってはいけない事例として、総務省は「国民のための情報セキュリティサイト」にて以下を挙げています。
・不正アクセスによる犯罪(サーバーへの侵入行為など)
・著作権法の違反(他人の著作物の販売など)
・刑法で定める行為(詐欺行為、コンピューターウイルスの提供など)
これらの行為を実行することが犯罪であり、そのために用いられる技術自体には一般的に違法性がありません。
利用するサービスの規約(ルール)を守る
Webサービスの提供企業は、独自に利用上の規約(ルール)を定めています。法令遵守を公にするだけでなく、それぞれの企業が保有する著作物の権利を保護することが目的です。例えば以下の場合は規約違反になる可能性があります。
・国(地域)毎に価格が異なる場合に、VPN接続をして居住していない国(地域)のWebサイトで商品を購入する
・居住していない国(地域)に限定したサービスを、VPN接続で会員登録し利用する
著作物の権利を保護する手段として、デジタルコンテンツを公開しているサーバーへは自国からのアクセスだけに制限することがあります。これが「ジオブロック」と呼ばれる仕組みで、接続元のIPアドレスなどから判明する国(地域)名をもとに、国外からのアクセスを制限しています。例えばテレビ局が自社サイトで配信する動画コンテンツを、自国からのアクセスだけに限定をする場合です。
この「ジオブロック」を設定されていても、VPN接続により上記のアクセス制限を回避することは技術的には可能です。その国(地域)で使われている接続元のIPアドレスへ変更することで、自国(地域)内からの接続と判断されれば、動画コンテンツを海外からの視聴などが可能になります。それでも安心して利用を継続するには、Webサービスの提供企業がVPN接続を規約で禁止していないか確認しましょう。
VPN接続をする国(地域)による規制と対応方法(2024年2月時点)
概要
VPNは接続「先」だけでなく接続「元」の国(地域)についても状況を確認することが重要と考えます。接続「元」の各国(地域)の制度により、違法かどうかの判断が異なるためです。日本から海外に出張や旅行する前には、調べて無用なトラブルを防ぎましょう。
(注)以下は2024年2月時点の状況で変更になる可能性があります。VPN接続時には都度確認が必要です。
規制の理由
各国(地域)の政権または監督官庁による管理目的が主要な理由です。その住民と渡航者がインターネット経由での通信を監視するために、VPN接続での利用を制限または禁止することがあります。
規制が厳しい国でのVPN接続の注意点
たとえ検閲されてもいいように以下のような注意が必要です。
・利用を大々的言わない(収益などの宣伝を過剰にしない)
・VPN接続でしか利用できないブログやSNSで、政府や監督官庁について批判的な投稿をしない
・無料のVPN接続方法は使わない(国などから指定があれば、有料でも指定のVPNで接続する)
国(地域)毎の規制と違法性の有無
以下の事情により各国(地域)で大きく変動することがあります。渡航前に必ず最新情報を確認しましょう。
・政府や管轄する機関のルール変更
・有事の際に情報の流通を制限(戦争、武力衝突、大規模災害など)
【制限有】 中国
政府が自らへの批判を抑え込む目的で、以下のような管理や取り締まりを行っている情報が多くあります。
・インターネットの検閲を広く行っている
・中国国内から海外の報道サイトや様々なWebサービスへの接続規制している(BBC、CNN、YouTube、X-旧Twitterなど)
・個人と法人とは取り締まりの状況は違う
【非合法】 北朝鮮
同国でVPN接続しようとすると逮捕されるという情報があります。居住者にはインターネットに接続する環境がなく、同国内でのみ閉じられたネットワーク(Kwangmyong)があります。いわゆるイントラネットという閉じられた仕組みです。
【制限有】 インド
法律によってVPN提供業者はログを残さなければならないため、利用者のプライバシーが制限されています。
【制限有】 アラブ首長国連邦(UAE)
VPNおよびインターネットでの検閲に関する法律があり、利用方法により罰金が科せられる情報があります。
【制限有】 ロシア
同国政府は一部のURLへのアクセスを禁止していますが、それ以外のVPN接続は禁止されていない情報があります。
上記以外の非合法または制限されている国
非合法 | ベラルーシ、イラク、トルクメニスタン |
制限有 | イラン、エジプト、オマーン、トルコ |
合法の国
- 日本
- 米国、英国など多数
- 英国など多数
まとめ
さまざまなルールの内容をよく調べてから、技術の本来の目的に合うように利用するのが賢い利用方法です。VPN接続に何らかの制限や違法性のあると判断される国では、身の危険が完全に無いわけではないことを知り、利用には慎重であるべきと考えます。
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