リモートワークの広がりとともに、VPN接続サービスの利用が身近なものになってきました。この記事では、そのサービスで提供されるIPアドレスについてまとめています。VPN接続サービスで提供されているIPアドレスには種類があり、その違いにより期待していたことができない場合があります。申し込みの際には業者の契約内容と料金を比較検討しましょう。

IPアドレスの分類
複数ある分類方法の一つとして、動的か固定(静的)かで分けることがあります。まずはこの章では、一般的なインターネット接続の事例で説明しています。どちらのIPアドレスで接続するかは契約するプロバイダーによって異なります。用途により、動的か固定(静的)かを使い分けるのが賢いやり方です。
動的IPアドレス
個人宅でインターネット接続する場合、契約しているインターネットプロバイダーから割り当てられるIPアドレスは、ほとんどが動的です。動的といっても、一度つなぐと回線を切断するまでは静的で変わらないことがほとんどです。この静的な状態はあくまで暫定で、接続機器を再起動したりインターネット接続機器をつなぎ直したりすると、割り当てられるIPアドレスはその都度変わります。
固定(静的)IPアドレス
インターネット接続時に接続元のIPアドレスがいつも同じ場合です。契約のインターネットプロバイダーにプランがあれば、追加料金を支払うことで動的から固定(静的)のIPアドレスに変更は可能です。
固定(静的)IPアドレスが使われる事例
以下のように接続元のIPアドレスが変わると支障がある場合です。
- サーバーの運用(代表例:Webの公開やメール送受信用のサーバーを運用する場合など)
- 情報セキュリティの向上(特定のネットワークにログインする際に、接続元のIPアドレスを固定し不正なアクセスを防ぐなど)
- 遠隔監視カメラをインターネット上で利用
(補足)ダイナミック DNS (DDNS)
固定(静的)IPアドレスのプランがないインターネットプロバイダーでも、DDNSの仕組みを利用すれば、上記のような固定(静的)IPアドレスでしか実現できないことも対応が可能になります。DDNSは接続元のIPアドレスを動的から固定(静的)に変換する方法で、以前から公開されています。利用には適正な設定が必要です。
VPN接続サービスで提供されるIPアドレス
前章では一般的なインターネット接続の事例で、IPアドレスについて説明しました。本章ではVPN接続サービスでの場合で解説します。
VPN接続サービスで提供されるIPアドレスの分類
多くの場合は固定(静的)IPアドレスが提供されていますが、以下のような分類があり注意が必要です。
- (1)他の利用者と共用するIPアドレス
- (2)利用者だけに割り振られているIPアドレス
契約時の注意点
VPN接続サービスの提供業者が割り振るIPアドレスが「固定」と説明している場合、上記(1)または(2)のどちらかを確認しましょう。
選択のポイント
他の利用者と同じ(共用の)固定IPアドレスを使用しているか否かです。たとえ固定IPアドレスでも他の利用者と共用している場合では、当初希望していたことが実現できないことがあるからです。例えば前章「固定(静的)IPアドレス」の用途では以下の通りです。
導入事例 | 他の利用者と同じ(共用の)固定IPアドレス利用の場合 |
---|---|
サーバーの運用 | 不可 |
遠隔監視カメラ | 不可 |
情報セキュリティの向上 | 多くの場合可 |
どのように利用すると安全で便利か
VPN接続サービスで提供される固定(静的)IPアドレスは、他の利用者と共用する場合がほとんどです。国内外での利用や部分的な経路の暗号化を優先する場合では、共用でも支障はありません。利用料金は比較的手頃です。そのため 接続元のIPアドレスが変わると支障のある用途に利用しない限り、他の利用者と共用する固定(静的)IPアドレスでのVPN接続サービスの利用がおすすめです。
本サイトでは、活用事例と情報セキュリティ対策について以下のページで詳しくまとめています。


まとめ
VPN接続サービスで提供されている固定(静的)IPアドレスは、多くの場合他の利用者と共用するプランです。リモートワークに向いているのはこちらです。利用者だけに割り振られる固定(静的)IPアドレスもありますが、別プランでの契約のため申し込み時には注意が必要です。

コメント